宝石カッティング入門|ラウンドからプリンセスまで。人気のカットを徹底解説
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古来から装身具として尊ばれてきた宝石。現在は多様な形がありますが、それらは先人たちが石の価値を最大限に引き出した証です。
本記事では、宝石カッティングの基本知識をはじめ、人気のカットや簡単な保管方法をピックアップ。宝石ビギナーから宝石好きな人まで。参考になる情報が盛りだくさんの内容です。
宝石カッティングの重要性
宝石の輝きと価値を大きく左右するカッティング。適切にカットして磨いた宝石は光を効果的に反射させ、美しい輝きを放ちます。この輝きこそ、宝石の魅力です。
一方でカットが不十分な宝石は、加工した宝石よりも光を十分に反射せず、鈍い輝きです。見た目が美しくなければ、宝石の価値が下がってしまいます。
デザインだけでなく、宝石の価値にも大きく貢献しているのです。
宝石カッティングの基本知識
カットって何のこと?
宝石の美しさを引き出す重要な工程です。光を効果的に反射・屈折させ、さらに宝石の色の深さや鮮やかさを強調する技術といえます。
割れやすさを軽減したり、見た目を整えて対称性を保持したりする効果も。カットの複雑なプロセスによって、原石から目を引く宝石に生まれ変わるのです。
カットとシェイプの違いは?
カットとシェイプは混同されがち。しかし、それぞれ異なる意味があります。カットは前述のとおり、宝石の輝きを引き出すための技術。ファセット(小さな平面)の配置や角度を指し、輝きに大きく影響します。
シェイプは、宝石の外形そのものを指します。たとえばラウンドは、光が美しく反射するように考え抜かれた丸い形状。オーバルは楕円形で、身につける人のエレガントさが際立ちます。
宝石を選ぶ際は、カットとシェイプの両方の観点でチェックしてみてください。
人気のカット&シェイプ紹介
代表的な11種類の宝石カッティングと原石を紹介します。好みのカットやシェイプを見つけてください。
ラウンドカット
ラウンドカットは、最もスタンダードで最も人気があるといってもいいほど、世界中から高く評価されるカッティング。57〜58面体の細かいカットが光を効率的に反射。クラシックな輝きで、結婚指輪やエンゲージリングによく選ばれています。
オーバルカット
卵のような優美な楕円のオーバルカット。ラウンドカットに似ていますが、より長いシルエットが特徴です。大きな宝石と相性がいいカットといえるでしょう。指輪にした場合、指を細く見せる効果があり、エレガントな印象を与えます。
クッションカット
角が丸みを帯びた四角形のクッションカット。枕のような形から、ピローカットとも呼ばれています。19世紀から20世紀初頭に流行したスタイルで、ヴィンテージな雰囲気も素敵。現代でもその魅力を保ち、ロマンチックなアクセサリーと好相性です。
トリリアントカット
シャープな三角形が印象的なトリリアントカット。モダンなデザインが特徴で、宝石に大胆な印象を与えます。メインストーンだけでなく、ほかの宝石と組み合わせるのもおすすめ。個性的なジュエリーを求める人にぴったりです。
マーキスカット
マーキスカットは細長い楕円形。両端が尖った形状で、実際のカラット数よりも大きく見えます。フランスのルイ15世が、愛人のポンパドゥール夫人の美しい唇に似せてデザインしたそう。侯爵の意味があるマーキスは、ロイヤルジュエリーとしてふさわしいノーブルな雰囲気を醸してくれるかもしれません。
ペアシェイプカット
涙型が印象的なペアシェイプカット。別名ティアドロップカットとも呼ばれるデザインで、ラウンドカットとマーキスカットが組み合わさった形です。ペアは洋梨の意味。洋梨のような丸みを帯びたフォルムだと覚えておいてください。カット面が多く、光を美しく反射させるほか、柔らかな形でエレガントな雰囲気も。
プリンセスカット
四角形が特徴のプリンセスカット。カットの面が非常に細く、面の数も多いため、モザイク模様のように見えるかもしれません。モダンなシェイプと気品あふれる輝きで、婚約指輪に人気があります。プリンセスはお姫さまの意味ですが、シャープな佇まいは意外と男性用のリングにもよく使用されているようです。
ローズカット
三角形のファセットを多数組み合わせたローズカット。平坦な底面とドーム型の上部が特徴で、優雅な輝きを放ちます。16世紀に登場したカットで、ヨーロッパの王族貴族に人気を博したと伝わります。ヴィンテージな雰囲気ながら、現代でも根強い人気。アンティークなジュエリーに多く使用されています。
カボションカット
滑らかな丸みを持つカボションカットは、光の反射を抑えた穏やかな輝きが特徴。三角形の面を組み合わせたカットと比べると少し地味ですが、宝石の自然な美しさを強調し、落ち着いた印象を与えます。スター効果をはじめ、カボションだからこそ引き出せる宝石の美しさがあります。
特殊カット
六角形のヘキサゴンカットや八角形のオクタゴンカットなど、個性的で目を引くカット技術です。複雑なカットが宝石に魅力的な輝きをもたらしてくれます。リクエストに応じるカスタムカットを含めて、多くのバリエーションがありますので、個性的なジュエリーを求める人におすすめです。
原石
カットの例ではありませんが、未加工の宝石も人気があります。自然のままの形状で、インクルージョン(内包物)やクラック(ひび割れ)が含まれていることも。透明度や輝きはカットした宝石ほどではありません。しかし、唯一無二の存在として、歴史を刻んだ自然の産物として、コレクターや宝石愛好家から支持されています。
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目的に合ったカッティングの選び方
ウエディングに代表される特別なアニバーサリー向けのカットと、日常使いに適したカットを紹介。それぞれにふさわしい輝きのカットを選べば、場面に応じたジュエリーを楽しめます。
フォトウエディングに
プリンセスカットがおすすめです。モダンで洗練されたデザインが特徴で、ジュエリーに華やかさを加えます。プリンセスカットのペンダントやリングを身につけてください。きっと写真映えしますよ。
デイリー使いに
オーバルカットはいかがでしょう。ラウンドカットより長いシルエットが特徴。エレガントなデザインながら、過剰に華やかすぎません。オフィスやカジュアルなシーンでも自然に馴染みます。オーバルカットのリングを身につければ、指を細く見せる効果も。
あくまで一例です。それぞれの好みやシーンにあわせてカッティングを選んでください。
カット技術の進化
技術の進化に伴って、新しいカットスタイルも次々と生まれています。従来のカットとは異なる輝きや形状で、個性的なジュエリーを求めるユーザーから支持を得ています。フラワーカットをはじめ、一風変わった特殊カットが今後も登場するかもしれません。
自己表現やアイデンティティを表す新しい技術、そしてデザインのさらなる進化。ファッションほど変化は早くありませんが、宝石カッティングにもトレンドがあります。現代は多様性が認められる時代です。今後の発展に期待したいですね。
カットされた宝石のケア方法
カットされた宝石を美しく保つためには、日常的なメンテナンスが欠かせません。宝石を使用した後は、柔らかい布で軽く拭いてください。
また、化粧品や香水が付着した場合、ぬるま湯でやさしく洗い流すことも重要です。しっかりと水分を拭き取って、自然乾燥させましょう。
宝石を保管する際は、個別のジュエリーボックスや柔らかい布に包んでください。ほかの宝石や金属と擦れ合って、傷がつくのを防止します。直射日光や高温多湿の場所に置くことは避けるように。このような環境は色や輝きを損ねるかもしれません。
まとめ
宝石カッティングは、宝石の価値と美しさを最大限に引き出すための重要な技術。この記事では、人気のカットや選び方の一例を紹介しました。
自分が主役のウエディングで煌々と輝くジュエリーを身につけたり、パーティにお呼ばれしたときはちょぴりエレガントなリングで大人の女性をアピールしたり。主要なカットやシェイプを知っておけば、さまざまなイベントで使い分けられるようになるでしょう。
特別な宝石を選びたいと考えている人にとって、この記事がお役に立ちますように。
天然石・パワーストーンブランド Pascle
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