鞍馬石 (Kuramaishi)
京都を代表する銘石、鞍馬石は気の乱れをしずめ、精神性を高めるとされる石です。
時のながれとともににじみ出る「錆色」は、変わりゆくものをいつくしむ日本人の美意識を象徴しています。
鞍馬石ってどんな石?
古都京都のわびさびの石
鞍馬石とは、京都市北部の鞍馬で産出される花崗岩の一種です。
時間の経過とともに、含まれている磁流鉄鋼という鉱物が酸化し、茶色い色味がでてくることが特徴です。
特に、わびさびの石として茶道の世界で愛好されている石で、茶室の庭の石灯籠・飛石・沓脱石(くつぬぎいし)・つくばい(茶室に入る前に手や口を清めるための手水鉢)などに多く使用されています。
また、鞍馬石の自然石は玉ねぎの皮がむけるように風化するため、その独特の形状をいかして盆栽を植え込む鉢のように使用されることもあります。
古都で生まれた石というだけあって日本文化とのゆかりも深く、和の趣を感じさせる石です。
鞍馬石に伝わる意味
精神を穏やかにし人間性を磨く
鞍馬石は鉄錆を帯びた花崗岩(グラナイト)です。花崗岩は地球の大陸を形成する主要な岩石で、身に着けることで心と身体のエネルギーバランスが整えられるともいわれています。
鞍馬石は強いヒーリング力を持ち、心を穏やかに落ちつかせてくれる石とされます。
また、人間力を高める石といわれているので、「精神的に成長したい」・「正しい考えをもちたい」・「周囲の人と信頼し合える関係を築きたい」と願う人におすすめです。
鞍馬石の歴史・言い伝え
不思議な伝説をもつ聖なる山が生んだ石
鞍馬石の産地、鞍馬山は日本有数のパワースポットです。
鞍馬山の中腹には鞍馬寺があり、京都の北方を守護する寺として古来より崇敬を集めてきました。
伝説によると、鞍馬山は650万年前に、金星から(護法魔王尊(サナトマクラ))が飛来して降り立った聖なる場所といわれています。
護法魔王尊は、この世のすべてを生み出した宇宙の真理そのものであり、あらゆる神仏のすがたとなってこの世にあらわれるとされる存在です。
鞍馬山にある鞍馬寺では、護法魔王尊(力と大地の象徴)・千手観音菩薩(愛と月の象徴)・毘沙門天(光と太陽の象徴)を一体と考え、「尊天」とよんで祀っています。
また、鞍馬寺といえば、「牛若丸」こと源義経ゆかりの寺として有名です。
源義経は、平安時代末期に源氏の軍を率いて多くの戦いで平氏の軍を打ち破った軍略の天才でした。
義経は少年時代に鞍馬寺に預けられ「遮那王(しゃなおう)」と名乗っていましたが、昼は寺で学問をし、夜は山奥で「鞍馬天狗(鞍馬山僧正坊)」に兵法を習っていたと伝わっています。
「鞍馬天狗」は天狗の中でも最も強い力を持ち、日本中の天狗達を統率していたとされる大天狗です。
実は、この「鞍馬天狗」こそが護法魔王尊であったという説があります。
鞍馬寺の「魔王殿」に祀られている護法魔王尊の像は鼻が高く羽の生えた天狗のような姿をしており、いずれにせよ護法魔王尊と鞍馬天狗との間に深い関係があることは間違いないようです。
なお、鞍馬寺のいいつたえによれば、義経の死後その魂は鞍馬山に戻り、今でも「遮那王尊」として護法魔王尊の補佐をしているということです。
こんなプレゼントにおすすめ
心のやすらぎを求める人に
「わびさび」の風情を感じさせる鞍馬石には、心を落ち着ける効果があるとされています。
身体の中のマイナスなエネルギーを浄化して深い癒しをもたらす石ですので、疲れがたまっていたり気持ちの乱れを感じやすい方は、この石をお守りとするとよいでしょう。
鞍馬石のカラー・種類
鞍馬石は花崗岩の一種で、白っぽい地色のなかに黒や灰色の点模様がみられます。
また時間の経過とともに酸化し、茶色っぽい錆色がでてくるのが特徴です。
自然石では表面がすでに錆色になっているものが多いですが、石の内部は白いままですので削って加工したものには錆色がみられないことがあります。
鞍馬石の産地
主に京都府京都市北部の鞍馬山の土の中から産出されます。
極めて採石量が少ない石です。
また、鞍馬石に似た石に丹波地方の「丹波鞍馬石」、山梨県の「甲州鞍馬石」というものがあり、これらと区別するために鞍馬山産の鞍馬石を「本鞍馬石」とよぶこともあります。
取り扱い・お手入れについて
鞍馬石は比較的硬い石ですが、酸化して変色しやすい石です。空気に含まれる水分や汗などによって、時間の経過とともに茶色い色味がでてくることがあります。
しかし、これこそが鞍馬石の大きな特色ですので、使い込むうちに浮かび上がってくる「錆び」の色合いをお楽しみください。
汚れがひどいときは水洗いすることもできますが、十分に水分をふきとるようにして下さい。