桑とは?
日本にも自生する高級木材
桑は、東アジアを原産とする広葉樹で、日本にも広く自生します。蚕のえさとして、古くから養蚕業に用いられてきました。
養蚕には畑に植えて管理した低木が用いられます。しかし本来は、10メートルを超す高さまで成長することもある木です。美しい木目と艶を持ちながら堅く狂いが少ない高級木材として、江戸指物や仏壇の材料に重宝されてきました。
正倉院宝物殿にも、桑を使った碁盤や楽器が納められています。
桑の歴史・言い伝え
太陽が昇る木
古代中国では、絹を作るのに欠かせないものとして桑を大切にしていました。紀元前~3世紀ごろにかけて成立した地理書の『山海経(せんがいきょう)』には、太陽が昇る場所を、東の果ての扶桑(ふそう)とする記述があります。この扶桑は、桑か、桑に似た葉をもつ神木であるとされています。
中国から養蚕業を伝えられた日本でも、同様に桑を神聖視していたようです。しかし、養蚕業が隆興した明治以降は身近な木となりました。面倒ごとを避けたいときに使う「くわばらくわばら」という言葉も、本来は「桑原桑原」と書き、雷が桑を嫌うという逸話にちなむおまじないだったといわれています。
養蚕業は衰退しましたが、現在では桑の実(マルベリー)の栄養価などが見直され、スーパーフードとして脚光を浴びるようになりました。地元の特産品に桑を使うなど、町おこしにも一役買っているそうです。
こんな人におすすめ
年代を問わず使える数珠に
唯一無二の緻密な木目が美しい桑。古くから、木魚や仏壇の仏具に重宝されてきました。華やかすぎない品のある色味は、数珠玉として老若男女問わず多くの人に愛されています。