佐渡赤玉石 (Sado Akadamaishi)
つややかな朱色の佐渡赤玉石は錦秋の景色のようなしっとりとした風情を感じさせます。
古今を通じて人々を魅了してきた世に名高い銘石です。
佐渡赤玉石ってどんな石?
日本三大銘石のひとつ
佐渡赤玉石(さどあかだまいし)は、新潟県佐渡島で産出されるレッドジャスパ」です。
赤鉄鉱を含んだ石英(クォーツ)の結晶が緻密に集合したもので非常に硬く、磨くと褐色に照り輝きます。
その美しさからとくに観賞用の石として愛好されており、日本三大銘石のひとつとして名高い石です(ほかの2つは神戸の本御影石・鳥取の佐治川石ですが諸説あります)。
佐渡赤玉石は現在ではほとんど産出されなくなり、大変希少な存在となっています。
佐渡赤玉石に伝わる意味
邪気を祓い幸運と安定をもたらす
古くから赤は魔を祓い福をもたらす神聖な色とされています。佐渡赤玉石も魔除け・招福のパワーをもつといわれており、家の守り石として玄関や床の間などに置かれることがあります。
また、佐渡赤玉石は一般的なレッドジャスパーと同様に、持ち主の精神を穏やかにし、安心感・安定感をもたらす石です。
地に足の着いた堅実・着実な行動がとれるようになることで、仕事や人間関係などさまざまなことが良い方向に進むようになるでしょう。
佐渡赤玉石の歴史・言い伝え
金より貴重な天下の銘石
佐渡赤玉石は、縄文時代には矢じりなどの石器に、弥生時代には勾玉(まがたま)・管玉(くがたま)などの装飾品に用いられていた石です。
赤玉石をはじめ、碧玉・瑪瑙など美しい石が多く産出された佐渡島では玉を造る工房の遺跡がいくつも見つかっています。
古墳時代以降、玉を装飾品とする文化は廃れていきましたが、のちに佐渡赤玉石は別の形で再び珍重されるようになります。
室町時代ごろから、室内に自然石を置いて鑑賞する水石や、石を主役とした庭園作りが流行し、美しい色・ツヤをもつ佐渡赤玉石が銘石としてもてはやされるようになったのです。
佐渡赤玉石の自然石はしばしば紅葉に色づく山にたとえられ、風雅な石として貴族や武士などから愛好されました。
佐渡赤玉石のうち優れた美しさをもつものは、佐渡金山で採れる金よりも価値があったといわれており、豊臣秀吉や徳川将軍家など時の権力者に献上された記録も残っています。
現在でも全国各地の由緒ある庭園や屋敷の玄関などでしばしば立派な佐渡赤玉石をみることができますが、昭和55年以降は採掘が禁じられているため非常に貴重といえます。
佐渡赤玉石は、佐渡島のなかでも赤玉地区の杉池から流れ出る中川の流域でしか産出されません(赤玉石がこの地区の地名の由来となっています)。
杉池の一帯は龍神が住む場所として大切に守られ、かつては村の人であっても容易に立ち入ることができない聖なる場所とされていました。
この地域には、杉池の神の姿をみた村人が富をもたらす「しゃもじ」を授かったという昔話も伝わっています。
明治30年に、佐渡は大水害に見舞われましたが、このとき赤玉地区では土のなかから大量の赤玉石が出現しました。
この石を売ったお金は村の復興や村の人々の支援に役立てられたということです。村の人々を救った赤玉石もまた杉池の神からの贈り物だったのかもしれません。
こんなプレゼントにおすすめ
仕事の成功を願って
佐渡赤玉石は、堅実さをもたらし、決断力・思考力を高めるといわれています。
精神の安定を維持し、着実に突き進む力をくれる石ですので、特に仕事などで長期的な目標にむけて頑張っている方へのお守りにおすすめです。
厄除け・開運のお守りに
古くから佐渡赤玉石は邪悪なものを退け幸運を招く縁起物とされてきました。
危険や災難だけでなく、人間関係のトラブルなどさまざまな悪縁を断ち、運気を良い方向に導く力を持つ石です。
アクセサリーとして身につけるだけでなく、部屋などに置くことでも気の流れがよくなるといわれています。
佐渡赤玉石のカラー・種類
佐渡赤玉石の赤色は含まれている赤鉄鉱(ヘマタイト)によるものです。褐鉄鉱(リモナイト)を含むものは黄色みを帯びています。 含まれている鉱物のバランスによって、赤褐色から黄褐色のものがあり、黒・白・黄色の斑点や筋模様をもつものもあります。 なお、佐渡赤玉石の一種である小倉地区産の黄色のジャスパーは佐渡油布黄玉(さどゆふおうぎょく)とよばれます。
佐渡赤玉石の産地
新潟県佐渡市(旧両津市)赤玉地区の中川流域で産出しましたが、現在は採掘が禁じられています。
取り扱い・お手入れについて
佐渡赤玉石は比較的扱いやすい石です。紫外線での変色なども心配ありません。汚れが目立ってきた際には水洗いなども良いですが、しっかりと水分を拭き取って自然乾燥してあげましょう。