なぜ違うの!?世界の誕生石とその歴史について
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生まれた月に当てはめられた誕生石を、自分の守護石として身につける最も主流な選び方となっている誕生石
でも、商品や企業によってその誕生石は異なります。一体どこの誰が考えたものなのでしょうか。
誕生石とはどのように決まったのかこのコラムで、起源から世界の誕生石についてご紹介いたします。
原型はアメリカで制定された?
誕生石の起源を紹介するには、伝統的な側面と現代的な側面の双方をご紹介しないといけません。
まずは、現代的な成り立ちについてご紹介します。
20世紀になったアメリカには、宝石商で有名なユダヤ人たちが数多く移住し、宝石の交易を活発に行っていました。
交易が活発になるにつれ、誕生石という西洋においてすでに浸透していた文化は、世界中に広まっていきましたが、当時は各地で石の種類にバラつきがあるのが問題でした。
そこで今から100年ほど前の1912年 アメリカの宝飾品協会(現在のジュエラーズ・オブ・アメリカ)が初めて、石を各月に当てはめ誕生石を選定し、現在の原型として統一をしました。
それをベースとし、ほかの国々も続いてその土地・文化に合った誕生石をアレンジし、制定していきました。
日本では、1958年 同じくアメリカの原則をベースに、全国宝石卸商協同組合によって初めて誕生石が定められました。このとき日本独自の誕生石として、桃の節句にちなんで3月にはサンゴ、新緑の季節5月には緑色の翡翠(現在は日本を象徴する国石に)を追加し、制定したといわれています。
また、2021年には同協会によって63年ぶりに日本の誕生石が改定されました。
このとき、ジュエラーズ・オブ・アメリカが定めるアレキサンドライト(6月)・スピネル(8月)などの誕生石を追認すると同時に、クリソベリル・キャッツ・アイ(2月)・アイオライト(3月)・モルガナイト(4月)・スフェーン(7月)・クンツァイト(9月)が日本独自の誕生石として加えられています。
これらの多くは近年発見された石で、発見者や名称にちなんだ人々の誕生月などを参考に制定されたものです。
このように、誕生石は西洋文化を由来としてアメリカで公式に制定され、各国はそれをベースに内容をアレンジしているのが現状なのです。
また、ジュエリーブランドはそれぞれが独自で誕生石を設定している場合も多く、それゆえにブランドによって石の種類が異なる現象が起こっています。
西洋ではもっと深い歴史が
次に誕生石の伝統的な側面をご紹介します。
西洋では、世界に誕生石の概念が広まる前でも、石を身につける文化を築いていました。
その起源とは、今から約3500年前へさかのぼり、旧約聖書また新約聖書に由来しているといわれています。
約3500年前に書かれた旧約聖書、出エジプト記内に、ユダヤの高僧たちが12種の宝石があしらわれた胸当てをつけていたことと、その石についての記述があります。
これは12のイスラエル氏族を意味する、イエス・キリストの12人の使徒を表している、12ヵ月や12星座に関連があるなど、さまざまな見解が長年討論されてきました。
また、この聖書の記述は12の星座石の由来になったともいわれています。
確かに、この12の数字は偶然にしてはできすぎていて、やはり何らかの関連があるのでは無いかと思えてきます。
まさに、神秘そのものです。
その12種の石にちなんで西洋では、約1300年前から12種の石を全て所有し、各月毎にひとつを身につけるという、現在の誕生石のような装飾文化が起こっていきました。
日本では、自分の生まれた月に当てはまった石だけを、一年中身につけるのが主流ですが、西洋での本来の使用方法はそのようなものだったのです。
アメリカン・ジェム・ソサイエティのページでは、誕生石についてこのように経緯が記されています。
”There are numerous legends and myths about ‘ birthstone healing powers ‘ and their therapeutic influence. According to these legends, wearing a gemstone during its assigned month heightened its healing powers. For the full effect, individuals needed to own all twelve and alternate them monthly.”
“誕生石の治癒力”とその治療的影響について、多くの伝説と神話があります。
これらの伝説によると、割り当てられた月にその宝石を身につけると、その癒しの力が高まったそうです。
十分な効果を得るためには、人は12の全ての石を所有し、毎月交替する必要がありました。”
(引用元:https://www.americangemsociety.org/ja/birthstones)
つまり誕生石とは約1300年前、宗教文化的に起こった西洋での習わしが、約100年前にアメリカで公式制定されたものです。
こうした長い歴史のエピソードを聞くと、ますますパワーストーンの力に神秘を感じます。
世界の誕生石比較
それでは、各国の誕生石を一覧でご紹介します。
《 ルーツ~制定まで 》
発祥(ユダヤ人) | 15世紀~20世紀(西洋) | アメリカ(1912 初の制定) | |
1月 | ガーネット | ガーネット | ガーネット |
2月 | アメジスト | アメジスト 真珠 ジルコン |
アメジスト |
3月 | ジャスパー | ブラッドストーン ジャスパー |
ブラッドストーン アクアマリン |
4月 | サファイア | ダイヤモンド サファイア |
ダイヤモンド |
5月 | カルセドニー カーネリアン アゲート |
エメラルド アゲート |
エメラルド |
6月 | エメラルド | キャッツアイ ターコイズ アゲート |
真珠 ムーンストーン |
7月 | オニキス | ターコイズ オニキス |
ルビー |
8月 | カーネリアン | サードオニキス カーネリアン ムーンストーン トパーズ |
サードオニキス ペリドット |
9月 | クリソライト ペリドット |
クリソライト ペリドット |
サファイア |
10月 | アクアマリン | オパール アクアマリン ベリル |
オパール トルマリン |
11月 | トパーズ | トパーズ 真珠 |
トパーズ |
12月 | ルビー | ブラッドストーン ルビー |
ターコイズ ラピスラズリ |
《 現代アメリカ ・ ヨーロッパ 》
アメリカ(2016) | イギリス | フランス | |
1月 | ガーネット | ガーネット | ガーネット |
2月 | アメジスト | アメジスト | アメジスト |
3月 | ブラッドストーン アクアマリン |
ブラッドストーン ジャスパー |
ルビー |
4月 | ダイヤモンド | ダイヤモンド 水晶 |
ダイヤモンド サファイア |
5月 | エメラルド | エメラルド クリソプレーズ |
エメラルド |
6月 | 真珠 ムーンストーン アレキサンドライト |
真珠 ムーンストーン |
ホワイトカルセドニー |
7月 | ルビー | ルビー カーネリアン |
カーネリアン |
8月 | サードオニキス ペリドット スピネル |
サードオニキス ペリドット |
サードオニキス |
9月 | サファイア | サファイア ラピスラズリ |
ペリドット |
10月 | オパール トルマリン |
オパール | 真珠 アクアマリン |
11月 | トパーズ シトリン |
トパーズ シトリン |
トパーズ |
12月 | ターコイズ ジルコン タンザナイト |
ターコイズ タンザナイト |
ターコイズ マラカイト |
《 アジア ・ パスクル 》
インド | 日本 | パスクル(弊社) | |
1月 | ブラックストーン | ガーネット | ガーネット |
2月 | ムーンストーン | アメジスト | アメジスト |
3月 | リバーストーン | ブラッドストーン アクアマリン 珊瑚 アイオライト |
ブラッドストーン アクアマリン 珊瑚 |
4月 | ダイヤモンド | ダイヤモンド モルガナイト |
水晶 モルガナイト |
5月 | エメラルド | エメラルド 翡翠 |
エメラルド 翡翠 |
6月 | 真珠 | 真珠 ムーンストーン アレキサンドライト |
真珠 ムーンストーン |
7月 | サファイア | ルビー スフェーン |
ルビー カーネリアン |
8月 | ルビー | サードオニキス ペリドット スピネル |
サードオニキス ペリドット スピネル |
9月 | ジルコン | サファイア | サファイア アイオライト |
10月 | 珊瑚 | オパール トルマリン |
オパール トルマリン ローズクォーツ |
11月 | キャッツアイ | トパーズ | トパーズ シトリン |
12月 | トパーズ | ターコイズ ラピスラズリ タンザナイト ジルコン |
ターコイズ ラピスラズリ タンザナイト |
各国それぞれに共通のもの、全く違うものとがありとても興味深いです。
皆さまの誕生石にも、新たな発見はありましたか。
最後に・・
いかがでしたか。
当たり前に知っていた誕生石。
でも日本ではほんの数十年の新しいカルチャーで、その裏には長い文化と歴史が詰まっていたのですね。
日本ではあまり聞くことがありませんが、自分の誕生月だけではなく毎月石を変えて楽しむのが、元祖・西洋での誕生石の用い方なのです。
これを機に自分の誕生月以外でも、それぞれの季節に合わせ色とりどりの石たちを思うままに楽しんでみるのも粋ではないでしょうか。
太古から人々がさまざまな場面・用途で使用してきたパワーストーン。
そこには、目には見えない何らかのパワーが今も昔も変わらずにあるから、人々はいつの時代も魅せられ続けているのでしょう。
天然石・パワーストーンブランド Pascle
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