縁起を呼ぶ宝石ルース。集めて楽しむパワーストーン
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大昔の人々は、宝石にはその色にまつわる力が宿っていると考えました。
たとえば、緑の石なら豊穣の力、青い石なら天空の力、というイメージ。
それらを身につけるために作られたビーズの装飾品は、現代のパワーストーンブレスレットなどに通じます。
その一方で、石のもつ力を高めるため、あるいはさらなる力を与えるために、特別な加工を施すことがありました。
石に意匠を刻み、ときに望む形を削り出すそのやり方は、現代まで続く宝石加工の歴史の初期に位置します。
本記事では、古の人々に学び、宝石ルースをパワーストーンとして楽しむ方法をご紹介します。
歴史に見る宝石の「護符」
宝石の繊細なカット技術は、美しさを最大限に引き出すために進化してきました。しかし、人間が石に加工を施し始めたのは、今のようなカット技術が生まれるより遥か昔からでした。
古の時代、石のもつ力を使って人々を守る「護符」としての宝石が作られていたのです。
意味を刻む
古代エジプトや古代ギリシャなどでは、宝石の表面に(ときには裏面にも)縁起の良い生き物や神様の姿、呪文などを刻み、護符として用いていました。
たとえば、勝利や守護にまつわる意味の宝石に戦神の姿を彫ったり、死者の副葬品の宝石に魂の平穏を祈る文を刻んだり、というように。
見た目に力をもたせる
石が元々もつ特徴に、魔除けの力が宿るとされることがあります。そうした石は、その特徴が表面に現れるように意識して加工されました。
たとえば、スター効果やキャッツアイ効果をもつ石。光の筋がはっきりと見える宝石は、幸運のお守りとして珍重されました。
また、目玉模様に邪な視線を避ける力があるとされたことから、縞のある石をまるで目玉のように加工して、護符にしたこともあったようです。
そしてときには、宝石の形そのものを、縁起が良いと考えられる姿に変えてしまうこともありました。
たとえば、古代エジプトで再生や創造を象徴したとされるスカラベ。宝石で作られたスカラベの彫刻は、聖なる護符としてミイラと共に埋葬されました。
また、古代ローマなどでは神の姿を彫り出したカメオが作られていました。
現代のルースで意味を強化
現代の宝石は、整然とした繊細なカットが特徴。石づくりの工芸品などは別ですが、ルースとして流通するものには、刻印や彫刻などは見当たりません。
そこにあるのは美しさを求める意図だけで、石のもつ力に着目した加工はされないからです。
それでは、現代の宝石を護符として見ることはできないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
美しさを重視した加工の中にも、石の意味を強めてくれるものはあるのです。
縁起の良いシンボルを探す
美しさを追求した姿のなかに、縁起の良いシンボルが含まれている場合があります。
まずは、古代の護符にも使われていた、スター効果やキャッツアイ効果。これらの光学効果は美しさにも通じるため、現代の宝石でも変わらず見ることができます。
それから、施されたカットが縁起の良い形になっているもの。
美しく整った幾何学模様のカットは、結果として、縁起が良いとされる図形の集合になることがあるのです。
たとえば、ローズカットは三角形のファセット(小さな平面)の組み合わせ。これは、下記でも述べる魔除けの紋様に見立てることができます。
また、特殊なカットのなかには、まるで星のように見えるものも。
星は古来「希望」を象徴するシンボルでした。スター効果が幸運を呼ぶとされたように、星のようなカットも、その石に良い影響を与えると考えられます。
縁起の良い形で選ぶ
古代のように石全体で彫刻をつくる、とまではいきませんが、宝石の形そのものに縁起の良さを求めることもできます。石のもつ意味とあわせて選べば、さらに良い効果を与えてくれるでしょう。
代表的な形を、以下に紹介します。
円
始まりも終わりもないため、完全性や永遠を象徴するといわれます。また、穏やかな、満ち足りた状態を連想させる形でもあります。
代表的な宝石はラウンドカット。平和や幸福を祈るお守りにおすすめです。
三角形
神秘的な形といわれ、古くから装飾などに用いられてきました。たとえば日本にも、三角形を連ねた「鱗紋」があります。これは、三角形が蛇や魚の鱗(=脱皮)を連想させることから生まれた、魔除け・厄除けを意味する紋様です。
代表的な宝石はトリリアントカット。石のもつ意味をより強化したいときにおすすめです。
四角形
「4」は四大元素や東西南北など、世界の成り立ちを連想させる数です。また、四方を囲っていることから、安定を象徴するといわれます。
代表的な宝石はプリンセスカット。安定や平穏のお守りにおすすめです。
五角形
図形の各頂点が木・火・土・金・水の要素をあらわすといわれています。また、頂点を結ぶことで描ける五芒星は、古くから魔除けのシンボルとされてきました。
代表的な宝石はペンタゴンカット。厄除け・幸運のお守りにおすすめです。
六角形
長寿の象徴である亀の甲羅を連想させることから、六角形もまた、長寿や健康を意味するといわれています。また、各頂点を結ぶことで描ける六芒星は、日本に古くから伝わる魔除けの「籠目紋」に通じます。
代表的な宝石はヘキサゴンカット。健康や魔除けのお守りにおすすめです。
八角形
漢字の「八」が末広がりなことから、日本では「8」は縁起の良い数字といわれます。また風水では八方位をあらわすことから、すべての方位から福を招く縁起の良い形だとされています。
代表的な宝石はオクタゴンカット。幸運のお守りにおすすめです。
おわりに
ただの宝飾品として考えたとき、煌びやかな宝石ルースは、少し手が出しにくく感じるかもしれません。
しかし、パワーストーンとして考えたときには、ビーズとはまた違う見方を提供し、楽しみ方を広げてくれる存在なのです。
同じ形を連ねるビーズに対し、宝石ルースの姿かたちは千差万別。
たとえば自分の誕生石に限定して探したとしても、いくつものカットが見つけられるでしょう。そのなかから、たったひとつを選び出しても良し。もちろん、気に入ったものをいくつも選んだって良いのです。
この記事で紹介したような見た目や形の意味にこだわって、それに石をあわせる選び方もできます。
ビーズが身につけて楽しむパワーストーンなら、宝石ルースは選んで集めて楽しむパワーストーンといえるでしょう。石の意味だけでなく、姿かたちの意味にもこだわって、自分だけのパワーストーンコレクションを作ってみてはいかがでしょうか。
天然石・パワーストーンブランド Pascle
パスクルは、天然石やパワーストーンの歴史・文化・魅力を届けるブランドです。「一期一会の飾るで彩りを」をコンセプトに、天然石の個性をさまざまな形で伝えるべく、価値ある情報を発信しています。